日本にいた頃、息子は硬式野球のクラブチームに所属していました。
彼が幼い頃、アメフトやバスケにしか興味がなかったので小学生に入ってからは、てっきりどちらかのスポーツを選ぶものだと勝手に思っていました。
なので、日本ではアメフトのチームは少ないためバスケで手を打ってもらおうと密かに企んでいたくらいです。バスケットボールのスーパースターであるKobe Bean Bryant(コービー・ブライアント)が飛行機事故で急に亡くなった時は、学校に行けないくらいショックを受けていたくらいバスケが好きだったので。。
そんな彼が野球を選んだのには深い理由があったのですが、それはまたの機会にブログで書くとして、今回は日米少年野球の文化の違いなのか、ご当地あるあるなのか、未だに解明していない面白い出来事があったので紹介したいと思います(笑)
それは彼がアメリカに来て初めて所属した野球チームでの出来事。
チームメイトにも慣れ始めて少し経った頃、確か何かのトーナメントで1日に2試合あるダブルヘッダーの公式試合でした。
その日は朝から小雨が降り夏でも長袖が必須な肌寒い日でした。
私は、いつもの如くベンチから少し離れたところに持参した椅子を広げ飲み物を準備し、観戦モード準備万端で試合が始まるのを待っていました。
だけど、試合開始時間になっても一向に試合が始まる様子がありません。
どうしたのかな?と思いながらも、その時は今日の天気予報が午後から雷を伴う雨が降る予報だったのと既に雨が降ってきていたことから試合続行するかどうかの検討をしているのかな?と思っていました。
すると、息子が私の方へ駆け寄ってきて言いました。
「お母さん。審判が来ないって。コーチがあちこち電話してるみたい。」
理由はわかりませんが、公式戦で審判がこないそうで。
しかも誰一人(笑)一人、二人だれかしら来てもいいかと思うのですが、審判とされる方が誰一人来ないそうで(笑)
お子さんが野球をしている、もしくは自分が野球をしていた。など野球経験者の人ならわかると思いますが、日本の硬式野球のクラブチームでは絶対にありえない話で、いや硬式野球だけでなく軟式でも少年野球でも私が知っている限り聞いたことはないのですが(笑)
ですが私が見ている限り、皆さほど焦る様子もなく怒ることなく、事の様子を伺っている様子でした。まぁ、どうすることもできないですもんね(笑)
どうするのか気になって見守っていると、小走り気味に2人の審判が駐車場からやってきました。
すると敵味方関係なく、そこにいた子供・大人全員で拍手でお迎え(笑)
すでに試合開始予定時刻45分を過ぎていました。この後まだもう1試合あるのに。。
試合は点取り合戦の末、息子のチームが勝ちましたが、休憩後すぐに2試合目が始まるとのこと。そりゃそうだ。なんてったって遅れているし、雨が酷くなる予報だし(笑)
雨が激しくなったり止んだりのスッキリしない天気の中、すぐに2試合目がスタート。
すると、人生において2度見という行動をした覚えがない私ですが今回ははっきり言えます。
2度見しました。
野球を見たことがある人はもちろんのこと見たことない人も、なんとなく審判の立ち位置なんかはわかると思いますが、通常ホームに主審、1,2,3塁にそれぞれ塁審がいます。日本の少年野球であれば、チームのコーチや野球経験のある親御さんが塁審を担当したりします。
要するに、それぞれの塁に審判がいるというわけで、いないとランナーが入ってきた時にセーフかアウトかわからないですからね。
なので、なぜ私が2度見をしたかというと、塁審に誰もたっておらす、ピッチャーの真後ろに審判らしき人が立っていたからです。
はて?
私は、少し霊感があるので守護霊が見えているのか?それとも背後霊か地縛霊か?
いや違う。2試合目のピッチャーは我が子であり、その彼の後ろには紛れもなく主審がたって
「ストライク!」「ボール」と言っている。
そう、彼は一人で主審も塁審もこなすスーパー審判だったのです!
とはいえ、走者が塁に出た時、盗塁したり牽制したりした時、一人でこなすには荷が重すぎるはず。どうやって大役をこなすのか。まだビックリして丸くなった目のまんま、その動向を興味深く観察していました。
しかし残念ながら、1回は息子のチームも相手チームもランナーを出すことなく終了し、2回に入った瞬間に私の興味を嘲笑うかのように雨が酷くなり、守備についたばかりの息子チームの選手が後方を指さしながら大きな声で叫んだ。
「みんな、あれ見て!!!」
彼の指さす方向に目をやると、確実に向こう側に豪雨を降らしている真っ黒な雲が見えるではありませんが。それは、さながら映画のストームのようで、こちらに向かっているのがわかります。
それを見た一人スーパー審判が片手をあげて「試合中止!」と言い終わるか終わらないかくらいで嘘みたいな暴風雨が一瞬のうちにグラウンドを襲いました。
選手も親も審判も、皆ずぶ濡れになりながら自己判断で車まで何とか走って避難。
避難も束の間、車に乗り込むと同時にみんな自己判断で次から次へとグラウンドを出る車で大渋滞。
一先ず車でコーチからの状況説明があるかと思い、車内にいた私達親子を横目に帰っていくチームメイト達。その帰る速さといったら(笑)
その様子を見て、まだまだ日本野球のやり方が色濃く残る自分達を笑いながらグラウンドから約5分ほどの家路に着いたのでした。
そして次の日、息子を学校まで迎えに行くと興奮気味に彼が車に乗り込んできて
「お母さん!審判が遅れてくるなんて比ではなかったよ!」と。
どういうことかと帰り道の車の中で話を聞いてみると、昨日の試合で審判が来なった話を別の野球チームの友人に話したところ、そんなのよくある話だよ。と言われ、
<こっちはもっと大変だったんだから!>
と怒り気味に友人が話してくれたそうで。その内容が、
試合は1点差で負けれていて9回裏2アウトランナー2,3塁一打でれば逆転の誰しも手に汗握る試合。
そのチャンスのバッターボックスに息子の友人は立っていた。
アウトカウントは2ストライク2ボール。ピッチャーが投球フォームに入るのを構えて待っていると
突然、主審が試合を止めた。
「試合終了~~!!」
「????」
息子の友人はもちろんのこと、相手チームも自分のチームの何が起こっているかわからず全員の頭の上には?マークが。
何も起こっていないのに試合終了なんて、もちろん息子の友人側のコーチが主審に駆け寄る。
主審の説明はこうだった。
「太陽の光が眩しすぎて、ストライクかボールかわからないんだよ。だから判断つかないから終わりにするよ。」
「いやいやいやいや。サングラスしてるのになんで?!」
「サングラスしてても見えにくいんだよね。西日でしょ?」
そういった抗議のやりとりも空しく、本当に試合は終了してしまったらしい。当たり前だけど誰も納得できず抗議を続けたらしいけど、やはりそのまま終了。勝った方も負けた方も納得できない何とも切ない試合の終わり方。これは、あまりにも酷い。子供達が納得できないのもわかる。
アメリカだろうが日本だろうが、あってはならない事だと息子に言うと、まだ続きがあってね、という。
それを聞いていた別の野球チームの友達は
「俺なんて、ワンバウンドついたボールをストライクって言われたんだから!」と。
息子は
「お母さん、この話コントじゃないよ。実際に起きた話だからね。」と。
信じるか信じないかはあなた次第。みたいな言い方してるけど、彼らによると本当らしい。これはアメリカあるあるなのか、それともこの地域だけなのか、はたまた息子達が所属しているリーグが、こういうことが当たり前になっているのか。。。そうであれば改善してあげてほしいと心から願います…。
理不尽なことを体験するには、あまりにもお粗末な理不尽体験なだけに、ところ変われば何とやらでは済まない話だと思うのは私だけかしら?(笑)
日本の当たり前とアメリカの当たり前が違うといえど、流石にこれは比べるレベルの話ではないな思ったアメリカ体験の一つとなりました。
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