あれは、私が20代前半の話です。
私には、年の離れた従兄がいました。小学生のころは母に連れられ、車で1時間ほど離れた従兄の家によく遊びに行っていました。親戚の中で1番好きな家だったので、毎回遊びに行くのが楽しみだったのを覚えています。特に、従姉とは7歳離れていたので実の姉のように慕い、従姉もよく可愛がってくれました。一方で、従兄は10歳離れていたので家に行くと、あまりにも年齢が離れてしたので少し話す程度でしたが、いつもニコニコとして優しかったのを覚えています。
そんな従兄が、私が20代前半のころ小さな子供を残して亡くなってしまいました。突然の訃報に家族で絶句しながら、信じられない思いのまま車を走らせ叔母の家に向かったのを昨日の事のように覚えています。叔母は、学生のころから手を焼いていた従兄を溺愛していたので見られないほど憔悴しており、声を掛けらるのが辛かったです。30代前半での死と親より早く逝ってしまった息子を思うと誰でもそうなるだろうな。と若かりし私もまた従兄を亡くした悲しみで呆然としていました。
私たち家族は家が近かったので、お葬式が終わった後も叔母の家に少し残り片付けなどのお手伝いをしていました。お仏壇には穏やかな表情の従兄の写真が飾られ、大好きだったタバコが供えられていました。叔母もまたヘビースモーカーだったので、そのタバコを見ながら
「タバコがないと可哀そうやからね」
と疲れた笑顔で呟きました。それがまた悲しさを一層誘い、切なくなったのを覚えています。
それから1週間経ったある日のこと。
明日は、従兄がなくなってから1週間が経とうとしていた夜のこと。眠りについた私の名前を呼ぶ従兄の声で目を覚ましました。
「akane, akane! 聞こえてるか??」
ふと、名前を呼ばれた方を見ると先日棺桶に入っていた姿のままの従兄が立っていました。私は、白装束姿で青白い顔をしている従兄を見て少し怖くなり、固まってしまいます。
「聞こえてるか??お願いがあるねんけど」
と従兄が私に話かけてきます。そこで私は
「お兄ちゃん(従兄)、亡くなったよね…。何?どうしたん?」
と動揺して答えます。すると従兄は
「タバコほしいねん。タバコちょーだい。タバコ吸いたいねん」と返してきます。
「え?タバコ?タバコほしいの!?タバコあるで。タバコがいるねんな?」と聞くとニッコリ笑って、すーっと消えてしまいました。その時、ハッ!!と目が覚めました。
今起きたことが夢なのか?実際にそこにいたのか?寝ぼけているのか?
全く状況がつかめないまま、しばらくボーっとしていました。それから少し時間が経ち、頭がはっきりしてくると、ますます現実味を帯びてきたので両親に今あったことを話すと、父は心霊現象など全く信じない人なので、ばからしいと鼻を鳴らして相手にしてもえず、母は叔母に電話してお仏壇にタバコがあるか聞いて見なさい。とのアドバイスをもらったので、とりあえず叔母に電話してみることに。
お葬式の時も、タバコを気にしていた叔母なので仏壇にきらすことはないと思っていたので、この話をすることで、また叔母が悲しい思いをするのではと少し心配になりましたが、とりあえず電話してみることに。
私は、夢に出てきた従兄のことを叔母に一部始終話しました。すると、叔母から驚く返信が返ってきたのです。というのも、従兄が亡くなってから毎日タバコをお仏壇に供えていたのですが、ここ2日ほど供えるのを忘れていたとのこと。タバコの箱そのまま供えていたのに、お供え物が多くタバコを移動したまま戻すのを忘れていたそうで。叔母もビックリしていました。
「私の夢に出てくれたらよかったのに」と言った叔母の声を今も忘れません。
すぐにお仏壇にタバコを供えたそうで、それからは従兄が私に会いに来ることはありませんでした。
私には、すこーーーーしだけ霊感があったのと、当時タバコを吸っていたことを従兄は知っていたので私の夢に出てきたのかな?と今は思っています。
その電話の後、従兄のお墓の前にいってタバコを1本取り出し自分で少し吸ってから線香立てのところにそのタバコをお供えしました。吸いすぎに注意しなくてもいいけど、ほどほどにね。という言葉を添えて。
あれが、夢だったのか現実にベットの横に立っていたのか。それはよくわかりませんが、最後にタバコを求めて会いに来てくれた従兄が、本当に従兄らしくて笑ってしまいました。
これが本当にあった不思議な話です。
まだまだ家族や親戚にまつわる不思議な話があるので、それはまた今度。
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