トイレの妖怪と閉所恐怖症。

不思議

土曜日の朝、息子を野球の練習に送っていくときに車の中で何だかんだと到着するまで色んな話をするのですが、今日のお題はトイレ。

”トイレに携帯を持ち込むのはどうなのか?”

息子は、高校生になってから動画が見たいからトイレに行くのか、本当にトイレに行きたいのか疑問に思うくらいトイレが長い…。話の流れとはいえ、良いタイミングで良いお題になったので携帯トイレ持ち込み問題を話し合うことに。息子も私もトイレに携帯を持ち込む派なので、なぜ私がトイレに持ちこむのかということを話すいいきっかけになりました。

私がトイレに携帯を持ち込むのは、動画を見るわけでも誰かに連絡するわけでもない。むしろ、本当は持ち込みたくない。という話をすると、息子は「?」の表情。そりゃ、トイレで携帯見てる人からしたら、そういうリアクションになるよね(笑)

「私が携帯を持ち込む理由はね、<閉所恐怖症>だからだよ」

息子は、またまた「?」

閉所恐怖症だからなぜ、携帯をトイレに持ちこむのか?
それであれば、トイレのドアは開放?されるべきではないのか?
そんな疑問を頭の中で浮かべながら息子は

「閉所恐怖症で、なんで携帯持ち込むの??」

と、誰でも聞くであろう質問をしてきた。

「それはね…」

そう、それは私が小学校の3,4年生の頃の話です。

母と一緒に叔母の家を訪れたときのことでした。当時、叔母の家までは主要駅からバスに乗って1時間ほどかかるところにありました。母は運転免許を持っていなかったので電車からバスに乗り換えて、叔母の家に向かうのですが、車酔いする私はバスが苦手で叔母の家に行くのが億劫でした。しかも、バス酔い以外にも叔母の家に行くのが億劫な理由がありました。それは、


<トイレ>


当時、ほとんどの家が水洗トイレだったにも関わらず叔母の家の付近は、まだ汲み取り式のトイレで週に1回業者が汲み取りにくる様式でした。

そして子供のころ、その汲み取り式トイレのことを<ぼっとん便所>と呼び、そこには<ぼっとん妖怪>が住んでいて何かのタイミングで便器の下から出てきて足を引っ張られる。というなんとも奇妙なそして、大人の今なら全く信じない嘘みたいな話を聞いてから、叔母の家のトイレに行くのが怖くて怖くて。

当時は知らなかったのですが、Google先生で調べてみると和歌山に雪隠坊(せっちんぼう)というトイレの妖怪がいるそうです。この雪隠坊(せっちんぼう)は、トイレを覗いたり便器から手を出していたずらするそうです。きっとここから<ぼっとん妖怪>はきたのでしょう。

※参考https://www.nwn.jp/feature/20171028_yokai/

当時、アニメのゲゲゲの鬼太郎を見ていたので、なんとなーく想像していたのかもしれませんね。なにんしか、想像するだけでめちゃくちゃ怖かった記憶があります。

この<ぼっとん妖怪>の恐怖に震えながら、毎回叔母の家に行けたのは叔母も叔父も、いとこも大好きだったからなのですが、それ故にかなりの葛藤がありました。

そんな妖怪に怯えながら叔母の家を訪れ、トイレに行くことを恐れ水分を摂らないようにジュースを断り、尿意を感じないないよう他の事で気を紛らわせたり…。<ぼっとん妖怪>に会わないようにするために、涙ぐましい努力をしていました。
しかし数時間経てば、もちろん生理現象を起きるわけで。

この日も、意を決して家にいる時よりも少し大きな声で
「トイレに行ってくる」宣言を母と叔母にしました。

母は、叔母と話し込んでしたので「お好きにどうぞ」という感じで我関せずでした。

<ぼっとん妖怪>の話は母にしていなかったので、私がこれほどまでにビビっているとは思いもよらなかったと思います。ましてや、このころの私は生涯で一番クールだった時期と自負できるほど、あまり子供らしくなく、取り乱したり大声で泣いたりというようなことをしたことがない子だったので、母もまさか娘が得体のしれない<ぼっとん妖怪>にビビり倒しているなんて、想像もできなかったと思います。

それから私は、居間からトイレまで続く長い廊下を進みトイレへと向かいました。叔母の家は横に長い平屋で建て増しもしている大きなお家だったので、トイレまで続く長い道のりは私をさらに怖がらました。

トイレに入ってから出るまでの新記録を達成すべく、長い廊下を歩きながら頭の中で何度も何度もシュミレーションを繰り返し、意を決してトイレに入りました。

そこからは頭の中のタイムウォッチとの闘いです。大ではなく小だったので通常より早く出ることができるはず。新記録を樹立するほどの速さで用を済ませ、その達成感と喜びを感じる間もなくドアノブに手を伸ばしトイレのから1秒でも早く脱出したい一心で思いっきりドアノブを回しました。

「あれ?」

子供の私でも明らかに空回りしているのが分かるくらい、何にもひっかることなくドアノブがくるくる回るではありませんか。

それから、何度も何度もガチャガチャ回したり、押したり引いたり、自分の知っている知識の中のドアを開ける作業を繰り返しますが、何をしようともドアが開かない…。

絶望と恐怖の中、私の中にいる想像の<ぼっとん妖怪>が動き出そうとしています。もう焦るどころではなく、気絶寸前で泣き叫びながらドアを叩きまくりました。

時間にすると恐らく5分くらいだったと思いますが、私にとっては1時間以上に感じ、恐怖から頭がおかしくなりそうでした。

そこで、トイレに行きたくなった母が私がまだトイレから戻っていないことに気付き、トイレまで様子を見に来てくれたのはいいけれど、トイレの中から泣き叫びながらドアを叩く娘に驚き慌ててトイレのドアを開けてくれました。普段クールな私が泣き叫んでいたため、母もかなり驚き焦ったようですが、ドアは外から簡単に開いたので母も私も何がなんだかわかりませんでした。

未だに謎なのですが、何故かドアは中から何をしても開かなかったのに、外からは簡単に開けることができたのでした。この経験がトラウマとなり閉所恐怖症になってしまいました。

それからは、家でトイレに入る時には必ずドアを少し開けて用を足すようになりました。しかしながら、外でトイレを利用するには難があります。なので、外でトイレに入る時は何度もドアの開け閉めを繰り返し、必ずドアが開くとわかってから用を足すという、なんとも面倒くさい癖がつきました。もう間に合わない!というギリギリのときにはドアを押さえながら用を足したりなんかして(笑)

大人になってからは何度も確認することはなくなりましたが、今でも鍵が壊れていないかの確認はします。ただ、今は携帯があるので何かあった時に助けを求められるようにトイレに携帯を持っていくようになりました。

この<ぼっとん妖怪>にからの閉じ込め事件が携帯をトイレに持っていくようになった理由ということを息子にすると、<ぼっとん妖怪>にかなり興味を持って少しビビっていましたが、携帯持ち込みの理由として納得したようです(笑)

しかし、この話をしてから息子は閉じ込められた時に困るという理由ができ、今日も今日とてトイレに携帯を持ち込んで過ごしています。動画の音は漏れていますが(笑)

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よかったら覗いてみてくださいね。

akane

40代後半で突然のアメリカ移住。
国際結婚していても英語が堪能なわけではない。
やる気とポジティブだけで生きてきた生粋の関西人の私が
異国で奮闘する様子をひとり言のようにつぶやいております。

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